僕に君の愛のカケラをください
3人は、食事をしながら、ジロウの話やこれからのK&Sの勤務体制のことなどを話した。

すっかりくつろいでデザートを食べ終わる頃に、蒼真のスマホが鳴り、仕事の問い合わせが入った。

「、、、。はい、お待ちください。今からパソコンでチャットに切り替えますから」

蒼真は、席を立ち、

「悪い、しばらく寝室のパソコンを使って仕事する」

と言って自室に入っていった。

靖晃と葉月は、のほほんとコーヒーと紅茶をそれぞれ啜っている。

「葉月ちゃん、さっき、凪沙に会ったんでしょ?」

靖晃が唐突に質問してきた。

「あの女性、凪沙さんて言うんですか?全く凪ぎってなくて荒ぶれてましたが」

「ぶっ、葉月ちゃんて意外と毒舌?」

「ジロウと蒼真さんは、今や私にとって癒しの存在なのですよ。私、萌えの対象を否定されると俄然ムキになっちゃうんです」

そういう葉月は、うっとりとゲージの中のジロウを見つめて頭を撫でた。

「ジロウはわかるけど、えっ、、と、蒼真もなの?」

「ええ、あの潤んだ目とか、寝ぼけてる時の言動とか態度、、、守ってあげなきゃって思いますねぇ。自己満足ですけど」

靖晃が目元を緩めて

「それって、恋愛感情?」

と尋ねた。

「えっ?どうでしょうね。私、お付き合いした彼氏にはいつも"お前あっさりし過ぎててつまらない"って言われるんですよ。自立した男の人は好きなんですけど、萌えないというか、、、。蒼真さんと恋愛?、、、うーん?てか、お部屋を間借りするのにそんな感情は不要ですよ」

葉月は、クスクスっと笑いなからケーキにフォークを刺して口元に運んだ。

「美味しい」

葉月は、今まで蒼真の周りにいた女性達とは違う。

素の蒼真をみてくれる。蒼真を任せたいと思った自分の気持ちに間違いはなかったと靖晃は確信した。
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