僕に君の愛のカケラをください
「キュ◯ブラック?」

「萌えの対象?」

葉月と蒼真は同時に疑問を口にしたが、

「なんでもない」

と同時に呟いて笑った。



ジロウは順調にミルクを飲んで、排泄して、寝て、順調に育っているようだし、この暮らしは穏やかで心地いい。

二人は顔を見合わせて微笑みあった。

「あっ、洗濯しなきゃ」

突然、思い出したように葉月が叫んだ。

「下着は見えないところに干せよ」

「見てもいいですよ?私は別に」

「俺も一応男なんだけど」

蒼真は、ふいに玄関の壁の近くにいた葉月に向かって壁ドンをした。いたずらを仕掛けた少年のような目をしている。

「フフ。私も女ですよ」

予想外に、ギュッと抱きついてきた葉月に驚いて、蒼真の顔が赤くなる。

「萌え、頂きました」

満足そうな葉月は、蒼真の頬を撫でると、スキップしながら洗濯機に近づいていった。
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