僕に君の愛のカケラをください
「蒼真さん,,,」

「俺は愛を知らない。だから、誰も愛せないんだと思ってた。でも,,,」

蒼真は涙を浮かべて葉月を見つめた。

「,,,こんな俺でも、葉月の傍にいていいか?」

俯いた蒼真に近づくと、葉月は力を込めて抱き締めた。

「蒼真さんはちゃんと愛を知ってるよ。靖晃さんのこともK&Sのスタッフのことも大切に慈しんでる。それに、私にもジロウにもこんなに優しくしてくれてるじゃない」

葉月はポロポロと涙をこぼしながらギュッと蒼真を抱く腕に力を込めた。

「蒼真さんは強くて優しいんだよ。だから人一倍傷ついてしまうの。甘えてもいいんだよ。私が、ジロウが、それに靖晃さんだってきっと受け止めてくれる」

「何も持ってない俺でも受け入れてくれるのか?」

「蒼真さん自身が大切なの」

蒼真は、何故自分がこんなにも葉月にこだわり、惹かれたのかわかった気がした。

自分を理解し受け入れてくれる存在を本能的に理解したのだと思う。

葉月の微笑みが、態度が、蒼真の真に欲するものを与えてくれる存在なのだと伝えてくれていたのだ。



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