僕に君の愛のカケラをください


"クゥン"

どれくらい抱き合ってたのだろうか?

食事は中途半端、ジロウのミルクの時間も過ぎている。

「そ、蒼真さん、ご飯食べてしまって下さい。私はジロウにミルクをあげますね」

「あ、ああ」

真っ赤になった二人はそそくさとばつ悪そうに離れた。

蒼真は食事を再開、葉月は哺乳瓶にジロウのミルクを作って運んでいく。

蒼真は、過去の事を知ったら葉月が離れていくだろうと覚悟していた。

しかし、過去を隠したままでは、葉月は本当の意味で自分を受け入れてくれないだろうと覚悟を決めた。

歴代の彼女には、過去を話したことはない。

そこまでの関係になる前に、どちらかが別れを切り出すからだ。

葉月に受け入れてもらえたことは嬉しい。

しかし、好きだと言われたわけではない。

葉月に好きと言ってもらえるにはどうしたらいいのだろう。

蒼真の頭の中は、新たな不安と期待でいっぱいいっぱいだった。

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