僕に君の愛のカケラをください
「蒼真さん、おやすみなさい」

ぽすッと蒼真の肩に頭をのせた葉月は、布団に入るなり寝息をたて始めた。

葉月の柔らかい胸が蒼真の腕に押しあてられている。

"これはこれで拷問だな"

可愛い寝顔、暖かい体。健全な男性なら欲情するなというほうが無理な話だ。

しかし、一緒に寝てくれるとはいえ、二人は恋人同士ではない。

言わば、打ち解けた親友程度に昇格したくらいか?

蒼真はそっと葉月の額に唇をあてた。

そして、頬、鼻,耳と唇を移動させたその時、葉月が身じろいて背中を向けた。

いけない、思わず、理性のたかが外れるところだった。

"ゆっくりでいい、俺達はまだ始まったばかりだ"

蒼真は自分に言い聞かせると、リモコンを操作して室内灯を消した。

蒼真は暗い場所が苦手だ。だから電気はつけたままで過ごすことが多い。

だけどこれからは葉月がいる。

ジロウのような子犬には薄暗い環境が必要だと葉月も言っていた。

人が熟睡するのにも暗闇は必要なのだ。

蒼真は葉月をそっと抱き寄せると、昨日のように無意識ではなく、自分の意志で眠りへと落ちていくのであった。
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