僕に君の愛のカケラをください
「葉月ちゃん」
飲み物を買いに自販機のところまで移動した葉月のあとを大亮が追う。
たまたま社長室から出てきた蒼真は、並んでベンチに座る二人を見て、慌てて廊下の角に身を潜めた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様。夜は眠れてるの?」
大亮が、そっと紅茶のペットボトルを差し出す。それは葉月がいつも飲んでいる銘柄のものだった。
そういうところはやはり大亮だ。卒がない。
「私は基本ショートスリーパーなので、細切れでも熟睡感があるんです」
"紅茶ありがとうございます"と言って葉月はそれを笑顔で受け取った。
「細いのに体力があるんだね。会社の中だけでも僕を頼ってくれていいから」
大亮が葉月に体を寄せ、頭を撫でる。
"やめろ、その手を離せ"
蒼真は焼け付くような苦い思いに胸がはりさけそうになるのを感じた。
「大丈夫です。私には上質の抱き枕がありますから」
「抱き枕?」
「ええ。とっても暖かくて抱き心地が満点なんです。ずっと抱き締めていたくなるくらい」
蒼真は漏れそうになる声を隠すために口元を押さえた。きっと真っ赤になっているに違いない。
「えー、いいな、それどこに売ってるか僕にも今度教えてよ」
「無理ですね。非売品ですから」
「それって手作りってこと?」
「どうでしょうね?内緒かな」
蒼真はあまりの嬉しさにそそくさとその場を去った。
少なくとも葉月は今の状況を嫌がってはおらず、癒されていると言った。
蒼真は目の前にある課題をクリアするのを一旦先送りにし、その喜びに浸る時間を満喫していた。
飲み物を買いに自販機のところまで移動した葉月のあとを大亮が追う。
たまたま社長室から出てきた蒼真は、並んでベンチに座る二人を見て、慌てて廊下の角に身を潜めた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様。夜は眠れてるの?」
大亮が、そっと紅茶のペットボトルを差し出す。それは葉月がいつも飲んでいる銘柄のものだった。
そういうところはやはり大亮だ。卒がない。
「私は基本ショートスリーパーなので、細切れでも熟睡感があるんです」
"紅茶ありがとうございます"と言って葉月はそれを笑顔で受け取った。
「細いのに体力があるんだね。会社の中だけでも僕を頼ってくれていいから」
大亮が葉月に体を寄せ、頭を撫でる。
"やめろ、その手を離せ"
蒼真は焼け付くような苦い思いに胸がはりさけそうになるのを感じた。
「大丈夫です。私には上質の抱き枕がありますから」
「抱き枕?」
「ええ。とっても暖かくて抱き心地が満点なんです。ずっと抱き締めていたくなるくらい」
蒼真は漏れそうになる声を隠すために口元を押さえた。きっと真っ赤になっているに違いない。
「えー、いいな、それどこに売ってるか僕にも今度教えてよ」
「無理ですね。非売品ですから」
「それって手作りってこと?」
「どうでしょうね?内緒かな」
蒼真はあまりの嬉しさにそそくさとその場を去った。
少なくとも葉月は今の状況を嫌がってはおらず、癒されていると言った。
蒼真は目の前にある課題をクリアするのを一旦先送りにし、その喜びに浸る時間を満喫していた。