僕に君の愛のカケラをください
シャワーを終え、明日の出勤準備と蒼真の家に持ち込む追加の荷物をまとめた葉月は、リビングに戻った。

ジロウの哺乳瓶はキチンと片付けられ、満腹のジロウはゲージの中で大人しく眠っていた。

蒼真も、体を丸めてソファに横になり、目を閉じて眠っている様子だ。

「蒼真さん、風邪引きますよ」

葉月は眠っている蒼真の耳元でそっと囁いた。

「ああ,,,葉月?」

葉月は蒼真の腕を引いて起き上がらせると

「狭いですけど、こっちで寝てください」

と寝室のベッドに誘導した。眠りの質にこだわる葉月のベッドはセミダブルだが、大人二人が眠るには少し狭い。

蒼真は葉月に引きずられるままにベッドに移動し、到着すると共に、体を横たえた。

いつものように、葉月もその横に潜り込む。

「おやすみ,,な,,んっ」

緩く抱き合って眠るはずが、今日はそれだけでは済まなかった。

「蒼真さん、寝てたんじゃ,,,」

「眠れるわけないだろう?スイッチが入ったままだ」

蒼真は再び、葉月の首筋に唇を寄せて赤い印をつけていく。

「そ、蒼真さん、そこは見えるから,,,」

「見えないところならいいのか?」

そう言って蒼真は、葉月のシャツをめくりあげ、胸元に唇を寄せた。

チュッ、チュッと花びらを散らせながら

「,,,葉月は俺のものになったって、思っていいのか?」

不安そうに蒼真が顔をあげる。

葉月が溺愛したくなるような潤んだ瞳だ。葉月は小さく頷くと

「っ,,,!ずるい。その顔。反則です」

と視線を反らした。

「どっちが!」

蒼真はニヤリと笑って、葉月の顔を自分の方に向けて熱い口づけを降らせた。

「好きだ。もう,,,遠慮はしない」

さっきまでの自信のない蒼真はどこに行ったのだろう?

そう思うほど、蒼真はグイグイと迫ってくる。

しかし、そこまでの自信を回復させたのは自分だと思うと、葉月は戸惑いよりも嬉しさの方が勝った。

「好きだよ。蒼真」

驚いたように目を見開いた蒼真の顔が、子供のように破顔した。

「俺もだ」

優しく全身にキスをする蒼真は、何かを振りきったように穏やかだ。

「葉月、欠片じゃなくて、全部、俺にちょうだい」

葉月は大きく頷くと、蒼真の愛に応えていった。

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