僕に君の愛のカケラをください
「葉月、ため息ばかりついてどうかしたのか?」

葉月はパソコンから目を離して、傍らに立つ蒼真を見上げた。

その瞳は潤んでおり、今にも泣きそうである。

今日はフレキシブルタイムをとった葉月も蒼真も、後10分で終業時間だ。

「勤務のことで話があるなら相談にのる。このあと飲みに行くからそのつもりで」

蒼真は、驚く葉月のことは無視して話を進めた。

たとえ、葉月が悩んでいたとしても、降って湧いたチャンスは活かしたい。

定時退社のために準備を終えた葉月をすかさず捕まえる。

「お先に」

社内に残るスタッフに挨拶をすると、蒼真は、葉月の腕を掴んで、グングンと目的地まで誘導した。
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