僕に君の愛のカケラをください
「あ、はい」

呆気なく承諾の返事をする葉月に、思わず口走ってしまった蒼真も驚く。

「えっ?」

「ええ?」

みつめあう二人の間に微妙な空気が流れる

「、、、俺と一緒にいるのが嫌になったんじゃなかったのか?」

「いや、正直、蒼真には結婚願望とかないのかと思ってて。私も結婚にはこだわらないしさ」

葉月は真っ赤になってアイスティの氷をグルグルと回し始めた。

"おっ、かわいいな"

蒼真が知る限り、真っ赤になる葉月は激レアだ。

「、、、なんとなく同居を続けてるし、まあ、蒼真もお母さんのことがあってからは何か吹っ切れたみたいだったから、一旦仕切り直しをしようかと、、、」

「葉月の気配が、存在が、俺の不安を消してくれるんだ」

蒼真は、顔を近づけてじっと葉月の目を見つめる。

真っ赤な葉月の頬が益々、赤に染まる。

「私の萌えスイッチ」

「、、、萌えスイッチ?」

「その潤んだ瞳、、、蒼真しか持ってないんだ、よ」

そう言って葉月は、蒼真の鼻先にキスをした。

「誰にもあげない。ずっと一緒にいよう」

真っ赤になり絶句する蒼真と微笑む葉月。

「こら、そこのリア充。ところ構わずいちゃつくんじゃない」

遅れてカフェに入ってきた靖晃が、二人の頭をグシャグシャと撫でた。

葉月とジロウ、そして靖晃がくれた愛の欠片。

"今度は俺が真ん丸にして返す番だ"

過去を振り切った蒼真の前には真っ青な青空が広がっていた。


Fin

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