Mon seul dieu【短編】


「無駄な抵抗は辞めとけ、姫さんはもう無事では帰れねぇんだからよぉ?」


私の両腕を掴む男がニヤニヤと気味の悪い顔と声でそう言うと

その後ろに突っ立っている数人の男達が何が面白いのかゲラゲラと下品な声で笑う。



その声に抵抗する気も削がれる。

体力ももう既に限界に近い。



確かに抵抗して隙を見つけたとして、その隙をついて逃げ出す体力なんて無いし

助けてなんて来るはずもない。



そう思うともう抵抗する気力も無く、もうどうにでもなれと大人しくする。


「おっ、姫さんは物分りがいいねぇ?あ、もしかして『妖華』のヒーローが助けてくれるのを待ってんのかぁ?」
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