Mon seul dieu【短編】
目の前の男に苛立ちが湧いてくる。
待ってても誰も来ないんだよ。
口には出さないけど。
いや、いっそのこと私が本物の姫では無いことを言ってしまおうか?
でも、そうしたところで先が良い方に変わるとも思えない。
もう何もかもを諦めてそう考えたとき、今までの気味の悪い下品な声以外の声が聞こえた。
「ねぇ、そこのお兄さん達何してるの?」
音楽を奏でるような綺麗な声に、いつの間にか下がっていた頭を上げる。