ONE〜想いは一つ〜
「南條ー」

「…あ、はい!」

誰よ、私を呼ぶのは。
振り返ると、顔面偏差値200越えの中元先生。
なんかやらかしたか、私。
由香里が行け、っ目で合図する。

「なんですか?」

恐る恐る先生に近づく。

「南條、いつもに増して、手際がよかったな。体調悪いって言ってた割には。いつもこの調子だったら助かるんでだけどな?」

「へ?あ、はい…」

褒められたのか、私?
首を傾げていると、由香里がこっちに来いと、手招きをしている。

「どうしたの?…ってか、あれ褒められたの?」

「違うよ、あれ嫌味」

「な、なんで?!」

「しーっ!声大きい」

由香里に口を押さえられた。
なんでも、夏帆かなり手際が悪いらしい。
何年看護師やってんのよ、夏帆。
そりゃ、嫌味も言われるはず…

「夏帆ね、今まで病棟看護師でしょ?救命のスピードに慣れてないのよ」

由香里がフォローをしていたらしいけど、看護師として仕事は8年やってんだから、慣れたらいいのに。

ま、夏帆はマイペースだから、仕方ないのかも。

そんなこんなで、由香里に助けられながら、初めての準夜勤が無事終わった。
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