ONE〜想いは一つ〜
意を決して、医局に入った。

「あの、中元先生いますか?」

そうっと覗いてみるも、先生の姿はなかった。
やった、いない。
机の上に置いておこうと思った、その時、

「あれ?どうした?」

ビクッ

「あ、あ、あの。これ中元先生に」

医局に戻ってきた谷岡先生に、声をかけられた。
これを、とカルテを渡そうとしたのに、ここにも悪魔、鬼がいた。

「中元なら、仮眠室にいるよ。直接渡して?俺、患者見に行ってくるから」

仮眠室を指さし、いなくなってしまった。
これじゃ、机の上にも置いていけない。

や、やられた。

仕方なく、仮眠室をノックした。
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