ONE〜想いは一つ〜
はい、と手渡された車のキーを見ながら、私はなんでこうなるの?と思っていた。
追いかければいいじゃない?
同乗する意味が分かんない。

まぁ、心配なのは分かるけど…

ブツブツと文句を言いながら、againのお店に預けたプレゼントを取りに戻った。

「すみません、さっき預けた…」

「あ、はーい。カッコよかったですよ!お二人ともお医者さんなんですね!手早くて凄いな!って今みんなで話してたんですよ!」

「あはは、いや、私は違うような…あ、そうなのかな…」

「あ、これでお預かりしたプレゼントです。またのご来店おまちしておりますね」

満面の笑みで見送られる私って…

はぁ、なんだか休みなのに休みじゃない感じだな。

「佳織!」

「え?あ…広樹さん…」

「…お前、何やってんだよ、こんな所で」

「あ、何って…買物?」

「違うだろ、ちょっと話があるんだ」

会いたくない人に会ってしまった。
本谷広樹…私の好きだった人に…


「なんで、佳織が中元と一緒にいるんだ?」

「え?…中元先生?」

「あぁ、そうだ。大学の同級生なんだ。お前ら知り合いだったのか?」

「嘘…え?あ…」

ヤバい。
バレちゃう、私が夏帆じゃないってことバレちゃうよ。
言う?広樹さんに言う?
言える訳ないじゃない、看護師やってます!なんて、私は独り言を言いながら首を振っていた。
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