ONE〜想いは一つ〜
待てと言われて待つわけないじゃない。

私はそのまま病院を出て行こうとした。

「夏帆!あんた何やってんのよ!」

「え?由香里…」

玄関で由香里に捕まった。そしてそのまま救命病棟まで連れて行かれてしまった。

「佳織、あんた、まさかとは思うけど中元先生とデートしてたの?」

「え?な、なんで?なんでそうなるの?で、デートなんてしてないし、買物に付き合っただけだし」

「それをデートと言うんじゃない?」

壁に押し付けられて、問答無用で質問され続けた。

「あ、あの。由香里ちゃん?怖いんだけど?」

「あのね、私はいいけど、他のナースが、大騒ぎなんだから!」

話が見えてこない。
なぜ?あの腹黒王子…いや中元先生と出かけただけで、そんな大騒ぎになるのよ。

私の不服そうな顔に気がついたのか、由香里は

「あのね、中元先生って救命バカなの。救命しか頭にないような人だから、休みの日にあんなモテ格好なんかして、ショッピングモールなんかに出かけてたりなんかしたら、デートって思われても仕方ないでしょ?しかもよ?救急隊の白石さんからは凄い連携出来ていて、同業者の彼女がいて羨ましいまで聞かされたら、どうなるか分かってるわよね?」

うんうんと私は勢いよく、頷いた。
救命バカって…ま、そう言われるのは仕方ないにしても、彼女じゃないし、連携取れてるのも当たり前だし…
突っ込みどころも満載なんだけど。

どうすんのよ、私!
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