ONE〜想いは一つ〜
お湯が沸くまでの間の時間が長く感じられた。
とてつもなく、長く。

何か話さなきゃ…

夏帆とは違い、私は自分の部屋に男の人を入れた事がなかった。
同じ双子でも、私と夏帆では全然違っていた。高校までは同じ学校に進んだけれど、卒業後、私は医大に、夏帆は看護大に進んだ。それから全てが変わっていった。

私が医大で勉強している間に、夏帆は広樹さんと付き合っていた。
そんな事、知らなかった。

そして、それがショックだった。
身近にいるのは自分だと思っていたのに。

それを知ってから…私の何かが変わったのかもしれない。

「…おい…」

「…っ、え?あ…」

「湯、湧いてるけど?どうした?」

「キャッ…」

気がつくと、中元先生が目の前に立っていた。
あまりの近さにビックリした私は、後ろに倒れそうになった。

「危ないっ!」

後ろに倒れる、と思った私は反射的に目を閉じた。

「…っ、あれ?」

倒れるとのに一向に倒れる気配もなく、背中を誰かの手が支えてくれていた。

「あっぶねーな。いちいちビックリすんなよっ!」

目を開けると、焦った表情で私を見ている中元先生がいた。
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