ONE〜想いは一つ〜
「へ…な、なんの事ですか…」

動揺が多分表に出てたはず。
声も裏返りしそうになっていた。

救命、経験ないって嘘だろ?
って、嘘だろ??
バリバリの救命医師だったけど?何か…
なんて言える訳もなく。

必死になって首を横に振った。

「な、内科と長く小児科にいたんです。救命は本当に経験ないです…って」

目が泳いでたはずだけど、ここは逃げなくてはいけない。
言えるだけの言い訳を並べた。

「いや、今日の外での処置だってそうだ。ちゃんと、俺が次々何をしたいのかを把握してたじゃないか。ここ2日程のお前は、明らかに違った。ちゃんと段取りや流れを読んでいた」

「は、はぁ…」

そりゃ、読むでしょ。
外科や内科での、ゆっくり出来る空間ではない事を知ってるから。
空気を読むのも当たり前の事じゃない。
ってか、またお前って言った。

だけど、そんなに夏帆って手際悪かったの?私が以前見た時は、ベテランナースらしくやってたけれど。
由香里もそんな事言ってなかったし。

「…っ、おいっ。聞いてるのか?」

「あ、す、すみませんっ」

急に大きな声を出され、私はびっくりして、何故か頭を下げて謝っていた。

それにびっくりしたのは中元先生だった。

「…いや、謝らなくても…」

なんなのよ!
頭の中がパンク寸前だった。




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