ONE〜想いは一つ〜
経験を疑われてから、数日。
私は中元先生に、疑問を持たれないようにと、自分の動きが怪しくないか、由香里に見てもらっていた。

「夏帆!動き過ぎだって。怪しまれるよ」

「あ、ごめん…これもだめなの?」

「ダメって事ないけど、救命経験が豊富のナースがする事よ。気がつき過ぎなの」

「ごめん」

動いて怒られるなんて…
あぁ、これなら、普通に医師として働いてた方が良かったかも…

え?
何か言ってんだろ、私。
医師として働く事に疲れた私が。

考えを一掃するように、首を振った私は仕事に専念した。


あれから中元先生は、探りを入れるような事はしてこなかった。
仕事中のからかいは、変わらずあったけれど。

それ以上もそれ以下もなかった。

もう大丈夫。
疑われてなんかない、そう思っていた。

だから油断していた。

「なぁ、お前って、彼氏いるのか?」

「なっ!か、彼氏って!いてもいなくても先生に関係ないでしょ!それにセクハラですよ!何度言わせれば気が済むんですか!お前じゃないですから!」

夜勤中、中元先生に彼氏はいるのかと、不躾な質問された挙句、先生に反論し、手を挙げた手を掴まれてしまった私。

そう、また壁ドンされていた。

「気が強いな…お前」
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