ONE〜想いは一つ〜
後で連絡すると言った、中元先生が連絡してきたのは、私が帰ってから数時間後だった。
近くのお店でもいいという事で、家から近いカフェで先生と会った。


二人で向き合って座ったけれど、長い沈黙が続いた。

「あ、あの…先生?話って…」

黙れ、心臓。
中元先生が話出すまで、私の鼓動は最高潮に高まっていた。

コーヒーを一口飲んでから、中元先生は顔を上げた。

「この間、買い物に行った時の事なんだが…お前、救急隊に、指標レベルを医師が使う特有のやつで最初伝えようとしてなかったか?」

………え?耳を疑った。
まさか、ここで?
これこそ…キターッ!

「は?い、医師が使う?な、なんの事でしょう?」

思いっきり言葉に詰まる私を逃すまいと、中元先生は、私の手を握ってきた。

なんで?
そこで手を握るの…ってか、逃げれないじゃない。

「…この間聞きたかった事なんだ…。誤解だったらいいんだ。だけど、俺も聞いたし、救急隊の岡田も言ってたんだ。てっきりDrだと思ったって…」

だから、と続けた。そして握られた手が熱くなるのが分かった。

言う?
言っちゃう?
私、医師です!って…無理無理。言える訳ないじゃない!!
それに、答えは何を求めてるの?この間、納得したんじゃなかったの?

「ご、誤解です。看護師ですよ、ただの。そ、そんな訳ないじゃないですか」

手を振り解こうにも、握る力はいっそう強くなっていった。
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