ONE〜想いは一つ〜
「理解出来ない?看護師として働いてるの。夏帆として、あなたが戻ってくるまでね。戻ってくるつもりあるの?」
嘘、と夏帆は信じられないとばかりに私を見た。
えぇ、そうでしょう。まさかそんな事を私がするとは思わないよね。
「信じられなくても、やってるの。いきなり家出なんかしたあなたが悪いんでしょ」
「そ、そうだけど…」
「双子だから出来たのよ。私も医師免許があるんだし。持ってなかったらそんな事してないわよ」
「よせよ、夏帆を責めたって仕方ないだろ。佳織だって、ちゃんと話をすればよかったんだから」
どこまでいっても、悪いのは私。
姉だから、長女だから、しっかりしなきゃいけない。
勝手なことばっかり。
確かに、あの時、話をちゃんとすればよかった。ただそれだけ。悪いのは私なんだから。
「いいわよ。悪いのは私がなんだから、父の事でちゃんと辞めてくるから。それで文句ないでしょ。夏帆は父さんの看病しっかりしなさいよ。実家に荷物は送ってるあげるから、広樹さんとの結婚話を進めなさい」
もうこれ以上、ここにはいたくなかった。
私は父の顔を見ると、病室から出て行った。