ONE〜想いは一つ〜
「夏帆!」
部屋から出ると、由香里が立っていた。
「辞めるの?」
「うん…ごめんね。父の跡継がなきゃ…」
「そっか…、お父様は大丈夫だったの?」
由香里に、父が無事だった事、だけどあまり無理もさせられない事を話した。
「じゃ、佳織に戻れるのね?よかったわ、今まで無理させて悪かったわ」
周りには聞こえない声で、由香里は私に話しかけた。
それに頷き、病院を後にした。
「おい、南條」
病院から出た所で、私を呼び止める誰かの声が聞こえてきた。
声の持ち主が誰なのか、振り返らなくても分かった。
「中元先生…何か?」
「いや、辞めるのか?」
聞いてたんだ…
でも、もうこれで先生の横暴に付き合わなくて済むんだと思ったら、心は軽かった。
「はい、短い間でしたけど、お世話になりました」
私の心は晴れやかだった。
いつもなりたいと思っていた夏帆に、なったのに、いつバレるかビクビクしていたせいもあり、もう演じなくていいと思えば思うほどに。
「結婚するのか…」
「え?」
「あ、いや。悪い…また明日な」
中元先生は、バツが悪そうに病院へと戻って行った。
もしかして聞かれてた?結婚して跡を継ぐって話…
やっと落ち着ける、そう思ったけれど、私の中で何かがもやもやとしていた。
部屋から出ると、由香里が立っていた。
「辞めるの?」
「うん…ごめんね。父の跡継がなきゃ…」
「そっか…、お父様は大丈夫だったの?」
由香里に、父が無事だった事、だけどあまり無理もさせられない事を話した。
「じゃ、佳織に戻れるのね?よかったわ、今まで無理させて悪かったわ」
周りには聞こえない声で、由香里は私に話しかけた。
それに頷き、病院を後にした。
「おい、南條」
病院から出た所で、私を呼び止める誰かの声が聞こえてきた。
声の持ち主が誰なのか、振り返らなくても分かった。
「中元先生…何か?」
「いや、辞めるのか?」
聞いてたんだ…
でも、もうこれで先生の横暴に付き合わなくて済むんだと思ったら、心は軽かった。
「はい、短い間でしたけど、お世話になりました」
私の心は晴れやかだった。
いつもなりたいと思っていた夏帆に、なったのに、いつバレるかビクビクしていたせいもあり、もう演じなくていいと思えば思うほどに。
「結婚するのか…」
「え?」
「あ、いや。悪い…また明日な」
中元先生は、バツが悪そうに病院へと戻って行った。
もしかして聞かれてた?結婚して跡を継ぐって話…
やっと落ち着ける、そう思ったけれど、私の中で何かがもやもやとしていた。