ONE〜想いは一つ〜
結婚するのか…
確かに中元先生はそう言った。

どうして…そんな事聞くの。

家に帰ったものの、気になってしまってなかなか寝付けなかった。
それに、やっと離れられると喜んだけれど、理由のつかないモヤモヤに心はざわついていた。

完全寝不足だわ。

「おっはよう!」

「あ、おはよう。麗華なんだか元気ね、なんかいい事でもあった?」

「ウフフ….今日は外来で谷本先生と一緒なの。邪魔が入らないから楽しいじゃない?」

「あ、そう…よかったね」

麗華は、私が夏帆として、ここ病院に来た時に更衣室に連れ込んだ張本人。
人はいいんだけど、ちょっと強引な所がたまに傷なんだけど。
看護師としての腕は、由香里に次いでいいと言える。

私の事も本当に夏帆だと思って接してくれていた。

ここ、東和総合病院の救命センターの人達はいい人ばかりだ。
そんな人達を騙してる事に胸が痛んだ。

でも、それももうすぐ終わる。

早く、南條佳織に戻りたい。

戻って…

え…戻って、何がしたいの?

私の夢は何だったんだろう?

何が原因で私は病院を辞めたんだろう?
今となっては、何がしたかったのか、分からなくなっていた。


残り少ない時間を惜しむように、私は夏帆としてここでの仕事を頑張ろうと思った。
< 58 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop