ONE〜想いは一つ〜

「どこ、行くんだよ?」

「え?」

もしかして、知ってる人なの?

「すみません、朝から体調悪くってトイレに行こうとしてたんです」

苦しい、言い訳。

「体調悪いって?ふーん。トイレはあっちだけど?」

げっ、や、やばい。バレた。

「え?あ」

慌てていると、その白衣の人は、いきなり私の顎を持って上を向かせた。

な、なに、この人。

めちゃくちゃイケメンじゃないの。
うちの病院は、たいした事ないって、夏帆言ってたけど、嘘じゃない。
その白衣の人は、モデルかと思ってしまいそうになるぐらいの、整った顔。
じっと見つめられて、顔が赤くなってくるのが分かった。

「顔が赤いけど、熱か?」

手を私の額にあてる。
だ、だめ、私がもたない。

あんまりこう言う事に免疫ないから、弱いの私!

そんな事言える訳もなく、ジタバタしていると、

「今日、準夜だろ?途中しんどかったら言えよ?俺今日当直だから」

「あ、は、はいっ」

そう言って、白衣の人は手を離してくれた。
その時、名札を確認した。

【所属 救急救命センター 医師 中元一哉】


夏帆が働いていた科じゃない!
前途多難。

1日乗り切れるのか、私。
< 6 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop