ONE〜想いは一つ〜
「どこ、行くんだよ?」
「え?」
もしかして、知ってる人なの?
「すみません、朝から体調悪くってトイレに行こうとしてたんです」
苦しい、言い訳。
「体調悪いって?ふーん。トイレはあっちだけど?」
げっ、や、やばい。バレた。
「え?あ」
慌てていると、その白衣の人は、いきなり私の顎を持って上を向かせた。
な、なに、この人。
めちゃくちゃイケメンじゃないの。
うちの病院は、たいした事ないって、夏帆言ってたけど、嘘じゃない。
その白衣の人は、モデルかと思ってしまいそうになるぐらいの、整った顔。
じっと見つめられて、顔が赤くなってくるのが分かった。
「顔が赤いけど、熱か?」
手を私の額にあてる。
だ、だめ、私がもたない。
あんまりこう言う事に免疫ないから、弱いの私!
そんな事言える訳もなく、ジタバタしていると、
「今日、準夜だろ?途中しんどかったら言えよ?俺今日当直だから」
「あ、は、はいっ」
そう言って、白衣の人は手を離してくれた。
その時、名札を確認した。
【所属 救急救命センター 医師 中元一哉】
夏帆が働いていた科じゃない!
前途多難。
1日乗り切れるのか、私。