ONE〜想いは一つ〜
「俺じゃダメなのか?」

ダメなのか?
私も言いたい。
夏帆じゃないとダメなのか?と。


夏帆夏帆….私じゃない、私。

「っ、ごめんなさい…」

今の私にはそれしか言えなかった。

「な、なんでなんだ!あの時、お前だって…」

ごめんなさいと言う私の手を握り、中元先生は俺を受け入れただろう?と言った。

受け入れた…
そう、昨日、私は中元先生にキスをされて、拒否しなかった。拒否するどころか…受け入れたのだ。

中元先生が、俺じゃダメなのか?と言いたい気持ちも分かるような気がした。
受け入れたのなら?と。

だけど、夏帆だったら…こんな事にならなかっただろう。
ちゃんと、中元先生と普通に接する事が出来ていたはず。広樹さんとの結婚を夢見見ていたんだから。
なのに、私が混乱させてしまった。

やっぱり…夏帆の変わりに、看護師なんて引き受けるべきではなかった。
引き受けなかったらこんな事にならなかったのに。

「…南條?」

「っ、す、すみません。中元先生…き、昨日の事は忘れて下さい…。私疲れてたんです。ごめんなさい」

それしか言えなかった。

ごめんなさいと。

私…もしかして…?




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