ONE〜想いは一つ〜
「すまなかった…」

中元先生は、それだけ言うと帰って行った。


先生…ごめんなさい。


もう…忘れよう。

あそこであった事は。


中元先生が家に来て話をしてから、病院で話す事は激減した。
余計な話をせずに、業務の話だけ。
おまけに、今まで以上に厳しくなっていた。

「夏帆さん?夏帆さん?中元先生と何かありました?」

「ん?どうして?」

「だって…夏帆そんにだけ、めっちゃ厳しいじゃないですか?全然夏帆さんは、こなしてるけど」

瑞穂が夜勤中に私に耳打ちしてきた。
厳しく…か。
確かに、今まで以上に中元先生は厳しくなっていた。厳しいと言うより、当たりがきつくなっていた。

分からないでもない。
先のない、相手に対して優しくなんか出来ないって。

これでいい…私はこれでいいんだと、自分に言い聞かせていた。
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