ONE〜想いは一つ〜
「佳織先生!急患です!」

「早くしてっ!」

私が、夏帆として勤めた東和総合病院を辞めてから半年が過ぎた。

自分がどうしたいのか、考えた結果…私は医師として現場に戻った。

今は、父の病院である南條総合病院の救命で非常勤医師として、働いている。

父の状態も良くなり、今では院に復帰していたが、今まで以上の無理はさせられない、と近々引退する予定だ。
跡はもちろん、広樹さんが引き継ぐ。

これでいい。

あれから由香里と飲みに行ったが、由香里から中元先生が私を探していると聞かされた。

しつこく何があったか聞かれ、私はあった事を由香里に話した。

「えー!嘘でしょ?あの中元先生が?」

「う、うん。それより、夏帆とそんな仲だったの?」

「違うよ!そんな訳ないじゃん!」

由香里が言うには、救命に慣れない夏帆を見ていたのはあるけど、恋愛云々はない!とはっきり言い切られてしまった。

挙句…

「佳織…あなたに恋したんじゃない?中元先生」

「えー!」

私は飲んでいたビールを吹き出した。

「ち、ちょっと!佳織。そこまで吹く?だけどあながちなくもないんじゃないの?入れ替わってからの夏帆を好きになったんじゃない?夏帆になった佳織の事を!」
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