ＯＮＥ〜想いは一つ〜

事故だと確信した私は、声の聞こえる方向に走っていた。

そして、歩道に乗り上げた車が人を何人も轢いているのが目に飛び込んできた。

事故の音を聞きつけた近くの店から出てきた人に、AEDと綺麗なタオルを持って来るように声をかけた。

「しっかりしてください！分かりますか？」

周りにいた人達は、すぐさま救急活動を始めていた。私も迷う事なく、手当てを行なった。


「お願いします！こ、この子を助けてっ！！」

助けて！と言われ、手当てをしようとその子は、まだ小さい女の子だった。
母親だろう、そばについて子供の名前を呼び泣き叫んでいた。

「お母さん、しっかりしてください。大丈夫ですから…」

母親を宥め、私はその女の子の治療にあたった。

思ったほど出血が多く、見る見るうちに顔が青くなっていくのが分かった。

ここでやれる事は限られている。
早く！救急車！

「次の方は？」

救急隊の声が聞こえ、私は手を挙げた！

「ここです！早く！」