ONE〜想いは一つ〜
「受け入れ準備いいか?救急隊の話じゃ、救命の医師も同乗して処置をしているらしい。出血が思ったほか多いから油断するな!」

一哉の声が救急の入口で響いた。

はい!

とみんなの返事と共に、救急車のサイレンの音が鳴り響いた。

来る。

みんなが顔を見合わせた。

救急車が止まり、後ろのドアが開けられた。
一哉達はストレッチャーを持って、患者まで近づいた。

母親らしき女性の後から、メガネをかけた長い髪の女性も降りてきた。服のあちこちに血が付いているのが見えた。

一哉はこの人がドクターか?そう思ったその時だった。

「救命医師の南條です。レベルは…」

「っ、わ…分かりました」

中元先生がびっくりしているのは、すぐに分かった。看護師でいた私が救命の医師だと言って、目の前にいるのだから。だけど、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
すぐに、中元先生は、医者としての顔に変わった。

「あんたも医者なら、手を貸してくれ。こっちも見ての通り、事故の急患が何人も来ているから、人手が足りない」

「っ、え…でも…私は部外者ですよ」

「医局長!いいですよね?」

中元先生は医局長に許しをもらった。
医局長も、この状況下では反対する事も出来ず、私が中元先生の補助に入る事に。

「え?夏帆?」
「な、南條?」

「佳織!あ、あなたがどうして!」

由香里だけは、佳織と叫んだ。

「話はあとよ。早く運んで!」

「中元先生、よろしくお願いします」

「分かった。行くぞ!」

「はい!」

ストレッチャーが運ばれて行った。


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