ONE〜想いは一つ〜
「中元先生?今の発言、女性に対して失礼ですよ。男でも女でも、医師として働く事に、性別が必要あります?」
…言ってから私は後悔した。
しまった。いつもの癖で言ってしまった。
私に言われた事で、中元先生は目を見開いた。
そして…
「やっぱり…」
私は慌ててその場から逃げようとした。
「私、今日はこれで帰りますね。失礼します」
明らかに中元先生の顔が引きつっていた。
やばい。
夏帆の時のように、食ってかかってしまった。
「南條さん!」
え?
中元先生ではない人から、急に大きな声で呼ばれた。
振り返るとそこには、医局長が立っていた。
「南條さん。帰ってなくてよかった。少しお話しいいですか?」
嫌だとも言えず、私は医局長についてミーティングルームにて向かった。
ミーティングルームに入ると、私に自分の前に座るように促した。
促されるままに私は医局長の前に座った。
何が始まるんだろう…。
「南條さん、さっきの話は本当ですか?」
「はい?」
さっきの話とは?どれの事を言ってるのか、理解出来ず、言葉に詰まっていると、
「あ、申し訳ない。都立の高度救命センターで6年いた、と言う話です」
「は、はい。研修も含めると8年はいたでしょうか。あそこでかなりの事を勉強させてもらいました」
そう言うと、医局長はかけていた眼鏡をかけ直した。
そして…
「無理を承知でお願いしたい。こちらに来ていただけませんか?」