ONE〜想いは一つ〜
こちらに来ていただけませんか?

そこの部分が、頭の中でリフレインされた。

「南條さん?」

声をかけられ、我に戻った。

「は、はい。あ、あの…こちらにとは?東和にですか?」

「はい。救命医師として、来てもらいたい。あなたの腕を見込んでの事。今は非常勤だとか?」

「は、はい。いずれはどこかでちゃんと勤めるつもりでしたが…」

「では、選択肢の一つとして、考えていただけませんか?」

医局長は、言葉を選びながら私に話しかけていた。

断る。

私にはそれしかなかった。

一緒に働ける訳がないんだから。

「中元先生との連携も抜群によかった。慣れていないとあそこまでは出来ませんからね」

連携が抜群…
それは…別の理由が、とは言えず、言葉に詰まった。

「返事は今すぐにとは言いません。どうかよろしくお願いします」

医局長は私に頭を下げた。

「いや、医局長そんな顔を上げて下さい。ゆっくり考えてみます。少し時間いただけますか?」

「もちろんです!ありがとう」

医局長はそう言うと、私の手を握った。

すぐにでも断たかったけれど、そんな事も出来ず。
私は医局長と共にミーティングルームを後にした。
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