ONE〜想いは一つ〜
どうしてこうなったんだろう。

目の前には怒った広樹さんが立っていた。
なんで怒ってるの?

私がどこで働こうが関係ないんじゃ?

「あのな…、佳織。お前、関係ないとか思ってるのか?」

「へ?な、なんで…」

はぁ、と深くため息をつく広樹さんに、私は返す言葉が見つからない。

「南條があるのに、なんでここで正職員で働いてるんだ!って言ってるんだよ。お前の働く場所は南條だろう?お前の家だろう?」

「はいぃ?何言ってるか分かんないだけど。広樹さん、私継がないし、働かないって言ったよね?」

「子供みたいな事言うなよ!俺が病院継いだら、誰が病院内を仕切るんだよ、お前だろ?俺は院長みたいに経営と病院を両方なんて出来ないこと分かってるだろ!」

なんで頭ごなしに怒られてるんだろう。
どうして、自分の事ばっかり考えてるの?
どうして、好きだった人と一緒にいられるって言うの?夏帆と結婚するのに、二人が一緒にいる所を毎日私に見ろ!って言うの?残酷だよ。

「広樹さん、しっかりしてる人いっぱいいるでしょ。その人達に任せればいいじゃない。私だけがどうして南條の人間だからって言われなきゃいけないの?夏帆もいるでしょ。二人でやればいいじゃない。私は元々、南條でやるつもりなんてないんだから」

「中元がいるからか…」

「えっ…」
< 87 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop