ONE〜想いは一つ〜
中元がいるからか…と言われて言葉をなくした。

中元先生がいるから、戻りたかったのか。

「そう、なんだな。分かった。ま、でも俺は許してなんからな。また来るよ」

「か、関係ないでしょ!」

その言葉の返事を言う事もなく、私に背を向けて広樹さんは病院内に戻って行った。





「拓海、知ってたのか?南條が来る事」

「…ん?俺も今日知ったんだよ。びっくりしたぜ。仲のいい志水も知らなかったみたいだから、医局長だけが知ってたみたいだな。だけど、一哉、南條先生の事、前から知ってたのか?」

「あ、いや…知ってると言うか…多分…」

歯切れの悪い一哉に、拓海は何かあると感じ取った。

「もしかして、前来た時に好きになったとか…なのか?」

「な、何を!」

「いや、なんとなくな。そうじゃないなら、俺行くけどいいのか?南條先生って話合いそうだしな…」

「っ、やめろよ!お前みたいなチャラいやつに…」

かかったとばかりに拓海は笑った。

「はいはい。なんかあったら言えよ。応援はしてやるけどさ」

肩を叩かれ、拓海の冗談だと気づいた時にはもう遅かった。

「お前なぁ、後で覚えてろよ」

「ははっ。一哉がな。だけど、南條先生は人としても、Dr.としても最高だと思うよ。真っ直ぐだよ、前の時もそうだったけど、今日一日仕事やってみて思ったからさ。内面知ったら惚れるだろうな」

「拓海!」

一哉はここが医局だと言うことを忘れて、大きな声で拓海の名前を叫んでいた。
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