雨垂れの恋


靴を履き替えて、いざ出ようとすると、思っていたよりも雨が強い。


あー、これはひどい。


教室で見ていた時は弱く見えたんだけどな。


でも、帰らないと。


仕方なく、雨の中に飛び込んだ。


早く家に帰って温かいお風呂に入りたい。


風邪を引きそうだ。


私は昔から体が弱く、よく風邪を引いていた。


大きくなるにつれて少しずつ収まってきてはいるけれど、それでも周りの人に比べたらよく風邪を引くほうだ。


……雨、強くなってきたな。


静かに、でも確実に強くなっていく。


世界が私だけのものになったなんて馬鹿な妄想を抱いてしまうほどに。


人っ子一人歩いていない。


足元はもうびっしょりだ。


ローファーも、制服のジャケットも、雨を吸い込んで重たい。


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