雨垂れの恋


不意に、雨が強くなった。


すぐに止むかと思って歩き続けたけれど、止む気配がない。


……どこかで雨宿りをしたい。


もう少し歩くと雑貨店があることを思い出して、それに力を得て再び歩き出す。


……あった。


屋根の下に駆け込んで体を温める。


思ったよりも冷たくなっている。


寒い。


どんどん雨は強くなる。


誰か通りかかってくれないかな。


傘借りたい。


「……あの、傘貸しましょうか?」


「……え?」


だって、あまりにもタイミングが良すぎる。


声に出ていたのかな。


「傘、無くて困っているんでしょう?」


「ああ、はい!

とっても困っています!」


……うわ、やっちゃった。


困った時に食い気味になる癖。


良くないって分かっているんだけど。


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