雨垂れの恋
「あの、俺の家近いので貸しますよ。」
「……え、でもこの雨じゃいくら近くても濡れちゃうんじゃないですか……?」
「いや、大丈夫。
俺、風邪引きにくい体質だから。」
「いや、でも申し訳ないし。
……じゃあ、こうしましょう。
私のことを送ってください。
ついでに家に上がって温まっていってください。」
「……え?」
……なんでこの人がぽかんとしているの?
……ん?俺?
この人、……男子?
……私、相当大胆なことを言った。
顔が熱い。
ちらっと男子の方を見ると、こちらも同じように赤かった。
「……あ、ええと、ごめんなさい。」
「だ、大丈夫。
自己紹介、するから、何かあったらすぐに通報していいよ。」
……自己紹介!?
今時の男子の口から自己紹介なんて出てくるなんて思ってもみなかった。