雨垂れの恋
*夜の中
うわー、天気予報、大はずれだ。
夕方には雨は上がるだろうって聞いていたのに、残業が終わった今もまだ降っている。
雨が止むのを待つために残業やってたのに。
置き傘なんて気の利いたものなんて持っていない。
同僚のマユミは合コンだとかなんだとか言って仕事が私と同じくらいに残っているのに帰ってしまった。
その仕事のほとんどは上司から任された雑用ばかりだ。
「アオイも来ればいいのにー」
今更のようにマユミの言葉が蘇る。
私も合コンに行ってうまく行けば傘を貸してもらえたかもしれないのに。
……もう少し仕事して様子見てみるか。
明日の会議用の資料をあと100部くらいまとめないといけない。
資料1部そのものがかなり分厚いから、今回の会議は大事なのだろう。
そういえば、この交渉が成立すれば、この部署の人で打ち上げに行こうと言っていた。
全て順番が揃っているか、角が揃っているか、確認してから事務用ホチキスでバチバチ留めていく。