DESK BATTLE

超進学校であるだけはある
入学式が終わったあとから
授業が始まるとは
しかし、こちらとしては好都合だ
みっちり勉強させてもらおう

先生方は非常に親身で
効率よくすべて教えてくれる
聞くところによると
どの先生も全ての教科ができるそうで
専門科目だけが強いというわけではないそうだ

ますますの好都合だ
米国に論文を発表し、科学者としても
有能な先生は料理が得意だそうだ

「武藤くーん!はじめまして!
私3番の3年生!三矢 理子って言うんだ!
得意科目は理科だよ!」

明るく、ハキハキと喋りかけてきた
黒髪ショートカットで、華奢
小悪魔を感じさせる雰囲気だった

この手の相手は
気をつけた方が良さそうだな

「ねぇねぇ、なんでそんなに頭いいのー??
理子にコツ教えてよぉ」

甘えた声を出し
顔を近づける
金木犀の甘い匂いがした

よく言うな
自分だって理科で2位だった癖して

「ただ、勉強しただけですよ」

俺がそう言うと
ムスッとした顔をして

「理子頑張ってもなかなか成績上がらないもん
武藤くんには才能があるんだろうなぁ」

「ありませんよ
微塵も」

俺が即答したせいで
三矢さんは少しびっくりしていた

周りは俺の反応を見て
聞き耳を立てているようだった

「嘘だぁ、じゃなかったら
そんないい成績出せないでしょ〜」

笑いながら三矢さんは俺の背中をバシバシ叩いた

「才能なら、三矢さんの方があると思います
俺は知らない人に話しかけることはできません
感覚で答えは導けません
さっきの授業を見ての感想ですが」

そう言うと
三矢さんは黙ってしまった

これは俺、やらかしたかな
生意気とか罵られるパターンかな
言葉で言われる分には問題ないけど
教材は捨てられたくないな

俺は無意識に教科書を自分の方に寄せた

「私に才能…」

三矢さんはそう小さく呟き
フラフラと自分の席に戻って行った

一件落着…か?


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