総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「……ん」
瞼をあけ、おぼろげに視界に飛び込んできた景色をみて自分が寝転んでいる場所が“あの場所”でないことを確信する。
(ここは、悪い夢じゃ、ない)
もう随分と長い間みてきた夢《アクム》とはサヨナラできた。
だけど――、いつまで?
いつまでこの幸せは続くの。
いつまでわたしは生きた心地を感じられるの。
昨夜の出来事は、正真正銘現実で。
ここは『黒梦《クロム》』のメンバー、愁さんの家で。
わたしは総長さんや仲間の皆さんの恩恵で、まるで夢《アクム》のような毎日から抜け出した。
逃げ出せた。
その先もまた……
『悪梦(アクム)』なんて。
ほんと、なんの因果なんだろう。
(こっちのアクムは悪い夢じゃない)