総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
今の。
タバコ、ですよね……?
長い箱だったから、一つに何個も入っているやつだと思う。
「これでストックしてたカートン全部うちから消えた」
「いっ……いいんですか!?」
「ちゃんと全部吸いきれと?」
「……それは……、あまりよろしくないです」
まさか目の前で捨てられるとは思わなかった。
なんの躊躇いもなく手放すなんて。
「時々、なんで吸ってんだろうと思うことならあった」
「え?」
「誰に止められることもなかったから、ずるずると続けてきたが。ちょうどいい……辞めてみるか」
「ほんとに?」
「野郎どもならともかく。ユウに副流煙吸わせんの悪影響極まりねぇしな」
「えっ……あの……楽しみをひとつ奪ってごめんなさい」
「そんじゃ、奪われた以上に俺に楽しみくれや」
ふっと笑ってカバンを持ち上げる愁さん。
「三日坊主で終わったらまた今みたいに叱ってやってくれ」
「叱るなんて。そんな……ただ、心配で」
「おせっかいな子だな」
「愁さんって。そんな風に笑うんですね」
「あ?」
「いや、初めて見たので。会ったときから眉間にシワがよっているイメージが強い……といいますか」