総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
愁さんの笑顔が途端に消える。
眼鏡の奥で目を見開いたあと、
「……俺、笑ってたか?」
自分に確認するかのように、つぶやいた。
「はい。笑ってましたよ?」
「…………」
ひょっとして気づかないうちに笑っていたの?
だとしたら
そんなことってあるんだなあ……。
「言っておくが俺の眉間にシワが寄るのは燐が無茶なことを言ったり君が予想外に現れたりしたからであって。常時そうだというわけでもないからな?」
「ハイ……!」
「わるかった。朝から……くだらない自分語りなんてして。聞いていて面白いものでもなかったろうに」
愁さんは、自分のことをあまり人に話してこなかったのかな。
わたしに身の上話をしたことを後悔しているように見える。
「そんなことないです! わたしは、愁さんのことが知られて良かったなと思いますし。話しにくいこと、話してくれて嬉しいです。……それに、せっかく出会えたんですから、もっと色んなところ知りたいですよ」