総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
『どうして一番なんてとるの』
わたしの成績が自分の息子たちよりいいとおばさんは機嫌を損ね、強くあたられた。
『息子たちと口を利かないで』
『目も合わせないで』
『同じ空気を吸わせたくない』
おばさんは自分の息子とわたしが接触するのをひどく嫌がるようになった。
怒り狂ったおばさんから食事を制限されることもあった。
そんなときは
一日のうち、まともな食事は給食のみ。
学校がない日は残飯をたべていた。
息子の一人が野菜嫌いなので手つかずのサラダだけはまともに食べられた。
おばさんは、外面だけはいいので
彼女が“毒親”
……いいや、親なんて言葉使いたくはないけれど。
保護者としての責任を果たしていないことは、明るみにはならなかった。
『夕烏は少食なんです』
『好き嫌いも多くて』
――そんなの、全部、嘘だ。
たびたび体調を崩し
貧血や腹痛で、立っていられないこともある。
学校からの帰り道、
空腹で道端にうずくまっていたとき。
『……あなた。大丈夫?』
――道端で声をかけてくれた見ず知らずのお姉さんの優しさに泣いてしまった。
『みっともない』
他人の前で涙を流したことを知ったおばさんはわたしを叱った。
もう、泣くのはやめようと思った。