総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
『××っていつも同じ髪型じゃない?』
『オバケかよ』
『井戸から出てきそ〜』
『呪いの人形じゃね?』
たしかにわたしはダサいのかもしれない。
流行りのメイクも髪型も、なにも知らない。
『あんなんでも恋したりするのかな』
『好かれた人が気の毒すぎるー』
……恋だってしたことがない。
恨みを買うようなことをした覚えはなかった。
周りに迷惑をかけないように生きてきたつもりだ。
わたしが悪い子になればパパを裏切ることになると思ったから。
――わたしはパパのことを信じている。
おばさんがパパの愛人?
そんなバカな。
ねえ、おばさん。
本当は嘘なんじゃないの?
パパの潔白を、信じたい。
……だけどそれを証明する術なんて存在しない。
おばさんは外見ばかり着飾っているけれど、心は真っ黒だ。
あんな風にわたしはなりたくはない。絶対に。
パパとママははやくに死んでしまったけれど、ちゃんとわたしのことを愛してくれていた。
その想いが今もわたしをまともでいさせてくれている。