総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
銀髪にキラキラアクセサリー。
カラフルなファッション。
わたしは立っていられないくらい怖いのに
あの子は堂々とそこにいて
ゆっくり、近づいてきた。
耳。口元。
そして、髪をかきあげる手にもピアスがついていて。
大きな釣り気味の目には
一度合うと心を射抜かれてしまいそうな、そんな力を感じた。
『君の知り合いか……?』
慌てたオジサンが、わたしから手を離した。
知り合いじゃない。
待たされてなんて、ない。
『あっれー。楽しそうなことしてるね。ナカマに入れてもらおうかな?』
天使に魅了されたかのように
はたまた悪魔に魂を奪われたかのように
呆然とするオジサンが、口を開いた。
『……っ、この子には大金を払ってるんだ。せっかくだから今夜は二人きりで楽しみたい。だが……どうしてもというなら君もいっしょに――』
オジサンのその言葉で
わたしは同級生から“売られた”のだと知った。
『はーい。完全アウト☆』
そういうと、
天使は手に持つ携帯をオジサンに向ける。
画面に表示された文字は
――110番《ケイサツ》
それも、“通話中”の文字と共に――。
『おまわりさーん。オジサンがいたいけな少女を買おうとしてるんだけど。くる? 二人でホテル街を歩いてるところからムービーも録ってたよーん』
あの子はニコニコしながら、そう電話口に向かって言った。
『今ボクがどこにいるか? それはねぇ、シブ――』
『ふざけるな!……わかったぞ。君たちはグルなんだな!?』