総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


銀髪にキラキラアクセサリー。

カラフルなファッション。


わたしは立っていられないくらい怖いのに

あの子は堂々とそこにいて

ゆっくり、近づいてきた。


耳。口元。

そして、髪をかきあげる手にもピアスがついていて。


大きな釣り気味の目には

一度合うと心を射抜かれてしまいそうな、そんな力を感じた。


『君の知り合いか……?』


慌てたオジサンが、わたしから手を離した。


知り合いじゃない。

待たされてなんて、ない。


『あっれー。楽しそうなことしてるね。ナカマに入れてもらおうかな?』


天使に魅了されたかのように

はたまた悪魔に魂を奪われたかのように

呆然とするオジサンが、口を開いた。


『……っ、この子には大金を払ってるんだ。せっかくだから今夜は二人きりで楽しみたい。だが……どうしてもというなら君もいっしょに――』


オジサンのその言葉で

わたしは同級生から“売られた”のだと知った。


『はーい。完全アウト☆』


そういうと、

天使は手に持つ携帯をオジサンに向ける。


画面に表示された文字は

――110番《ケイサツ》


それも、“通話中”の文字と共に――。


『おまわりさーん。オジサンがいたいけな少女を買おうとしてるんだけど。くる? 二人でホテル街を歩いてるところからムービーも録ってたよーん』


あの子はニコニコしながら、そう電話口に向かって言った。


『今ボクがどこにいるか? それはねぇ、シブ――』

『ふざけるな!……わかったぞ。君たちはグルなんだな!?』

< 127 / 258 >

この作品をシェア

pagetop