総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


本で、読んだことがある。


人は、なにかに依存したり

極度の中毒症状に陥ると


――…正常な判断ができなくなるらしい。


『裏でオジサンなんて言われてるか知らないでしょ。“金持ってるぶた”だよ』

『……!?』

『あはは。証拠なんていくらでも出てくると思うよ? いい年した大人が危機管理能力なさすぎ。会社はもちろん家族にバレたらもうこれ首吊るしかなくない?』


恐ろしいことを言いながらも無邪気に笑う。


『まあ、なんでもいっか。保留中の電話繋いでオジサンのことツウホウしよーっと。言い訳があるならおまわりさんに聞いてもらってよね』

『やめてくれ……!』


すがるような目で天使を見る。


『やめないよ。どうせ繰り返すんでしょ』

『……もう、やらない!』

『ウソだねー。無駄な小芝居めんどくさい。そういうの、ほんとおもしろくないから』

『やめろ。こんなの……あんまりじゃないか。俺は対価を支払ったってのに』


ぶつぶつとオジサンが話を始める。


『子供の頃は遊びたい気持ちを我慢してずっと机に向かっていた。いい大学に入り、いい勤め先に就職した。親のすすめる相手と結婚した。家族サービスも仕事も頑張ってきた。こんなところで……こんなことで、人生終わらせてたまるか!』

『ふぅん。この期に及んでまだ自分のことばかり考えてるんだね。ほんと救いようない』

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