総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
オジサンのことは怖かったけど
『だいじょーぶ?』
燐さんのことは、怖くなかった。
それは、燐さんからビックリするくらい可愛い笑顔を向けられた安心感からなのか。
それとも。
『はじめまして、だよね?』
誰かの優しさに、久しぶりに触れたからなのか。
『もしかして営業中だった?』
まさか!? と、慌てたわたしの手を掴み
歩き出した。
『かわいーね』
『……え?』
『その制服』
それは、わたしのずっと欲しかった言葉だった。
『コスプレ?』
『ちがいます……!』
『へえ。黒いセーラーっていいよね。それもワンピース。ボクも着てみたいな』
わたしより、ずっと似合うだろうなと思った。
『そうだ。いいこと思いついた』
(いいこと?)
『愉快な仲間たちに会わせてあげる』
“愉快な仲間たち”
そう聞いて瞬時に頭に浮かんだのは、
サーカスの集団みたいな人たちだった。
ピエロとかの。
派手なメイクをして、カラフルな衣装を着ているような。
『お姫様になる気ない?』