総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
『でした?』
『…………』
もう、学校には行かない。
『そっか。ワケありなんだー』
家にも帰らない。
あの場所は、
とっくにわたしの還る場所じゃなくなっていたんだ。
『だったらおいで』
わたしには
このひとについていく選択肢しかないと思った。
愉快な仲間の皆さんに。
会いたいと、思った。
『ボクは燐。漢字は元素の燐と同じ』
『燐、さん』
『16……ってことにしてるけどホントは絶賛義務教育中。背もまだ伸びてるんだよ〜』
『え?』
『ナイショにしててね?』
『……どうしてわたしに秘密を話すんですか』
『共有したいんだよ。ボク、さっきユウちゃんの知られたくない秘密を覗いちゃったでしょ。だからこれでオアイコだね』
『…………』
『まあボクはバラされても痛くも痒くもないけど。あんまり知られていないことだから秘密には違いないよね』