総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


『でした?』

『…………』


もう、学校には行かない。


『そっか。ワケありなんだー』


家にも帰らない。


あの場所は、

とっくにわたしの還る場所じゃなくなっていたんだ。


『だったらおいで』


わたしには

このひとについていく選択肢しかないと思った。


愉快な仲間の皆さんに。

会いたいと、思った。


『ボクは燐。漢字は元素の燐と同じ』

『燐、さん』

『16……ってことにしてるけどホントは絶賛義務教育中。背もまだ伸びてるんだよ〜』

『え?』

『ナイショにしててね?』

『……どうしてわたしに秘密を話すんですか』

『共有したいんだよ。ボク、さっきユウちゃんの知られたくない秘密を覗いちゃったでしょ。だからこれでオアイコだね』

『…………』

『まあボクはバラされても痛くも痒くもないけど。あんまり知られていないことだから秘密には違いないよね』

< 134 / 258 >

この作品をシェア

pagetop