総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


燐さんは、ひとの心にすっと入るのがうまい。


『“絶望のフチにいるならもう落ちることもねえな”』


――?


『うちに、そんなこと言うやつがいるんだよね。あれ天然なんだろうけど』


(……落ちることも、ない)


『話したらわかるよ。それがキザなオトコでさ。味方にできたら百人力。これ、贔屓目でもなんでもなくだよ』


(そんなひとが?)


『これからド田舎に向かうし、いるのはイカついやつらなんだけど。みんないいやつだよ、少なくともボクよりは』


わたしを助けてくれたのに

自分のことを『いいやつ』扱いしなかった、燐さん。


『ユウちゃんが“ここにいたい”と思える場所なら、お願いしてみるといい。我らが総長サマに、姫になりたいって』


(総長さんに……)


『ちゃんとアピールしてね。ユウちゃんが姫になったあかつきにはどんなメリットがあるかってことをさ。ボクはユウちゃんを応援しちゃうよ!』


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