総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
――あれ。
手が動かない。
身体も、なんだか重い。
まさか。
(これは、金縛り……!?)
「……っ!!」
パチリと瞼をあけると、総長さんがいた。
(……総長さん……えぇ!?)
わたしの顔を間近から覗き込んでいる。
腕が動かないのは手首を抑えられていたせい。
身体が重いのは――伸し掛かられているから。
「総長さっ……! ん、」
大きな手で口を塞がれる。
「でけえ声出すな。あっちで愁が勉強してる」
こくこく、と頭を縦に振ると手がどけられた。
総長さんが驚かさなきゃ大きな声も出してませんでしたよ?
「いま、なんじ――」
壁の掛け時計を見ると、17時すぎだった。
あれ? あれえ!?
お洗濯を浴室に干して、ご飯の下ごしらえして
一息ついたあと……
――眠っちゃったの!?
(いくらなんでも寝すぎだ……!)
「洗濯、」
「来たときにはたたんであった。愁がやったのだろう」
家のことやるつもりが、やらせてしまった。
「ハッ……お買い物!」
これから総長さんとお買い物ですよね!
「夕烏のこと考えてた」
――え?