総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
「明日からユウちゃんが世話になることになる一番弟子が、ちょうど奥で休憩しているわ。顔合わせてく?」
返答に迷っていると
「行ってこい。済むまで表で待ってるから」
幻さんが、お店から出ていった。
「その扉の向こうに事務所があるの。行ってらっしゃい」
ウインクされ、ドキッとしてしまった。
「し、失礼します!」
扉を開け、中に入ったそのとき。
「……ノックくらいしろよ」
――!?
「つか。誰だお前」
中に、上半身裸の男の子がいた。
一瞬で背を向けたけど脳裏に焼き付いてしまった。
(どうして事務所で脱いでいるの……?)
というか。勢いあまって扉を閉めてしまい。
事務所の中に滞在してしまったが。
(出ていけよ、わたし……!!)
「お、お着替え中でしたか」
「いや。単に暑いからだ」
(うぇええ!?)
冷房ガンガン効いてますが。
これでも熱いの?
……ああ、そうか。
今まで厨房にいたからだ。
パンを焼いているならそりゃあ暑いよね。
って、こんな時間にもまだ焼くの?
もう一時間もすれば閉店だけど……。
「新人か」
「は、はい。明日からお世話になる――」
「ああ。自己紹介とか別にいいわ」
――!?
「どうせお前もすぐ辞めんだろ」
(……え?)
「なんの期待もしてねぇよ」