総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
【君は、幻の最大の弱点となる。ほぼ確実に……狙われることになるだろう】
愁さんも、ああ言っていたから。
休憩は店の敷地内でさせてもらえると助かる。
不必要に出歩いて、危険と遭遇したくない。
かといって、一番弟子さんだって、ここでゆっくり休憩したいよね。
「どかないなら、詰めろ」
「ほえ!?」
――隣に腰をおろす、一番弟子さん。
「……変な声だすなよ」
「すみません!」
二人がけのソファに二人で座ることなんて普通なのだろうけれど。
それでも男の子とこんなに近い距離になったのは、幻さん以外だと初めてだ。
燐さんは、なんていうか、近いようで近くない。
幻さんの腕にしがみついているところは見たことがあるものの、他の人にはそんなことしていない。
愁さんは、距離が近くなる前に、ささっと離れていくことがある。
避けられているのかと勘違いしてしまいそうだが、そういうわけじゃないみたい。
「バイクのエンジン音」
「え?」
「今朝、お前が店に来たときエンジン音が聞こえてきた。男に送ってもらったのかよ」
「あ……はい。送り迎えしてもらってるんです」
「ふぅん。お前みたいな色気ゼロの子供でも、いっちょまえに恋人いんのか」